DENKIグループ★電子工作ブログ★

趣味でガラクタ工作をやっています。作ったものについてまとめていきます。

ヘアドライヤーを分解したら面白い回路が入ってた

最近すっかり分解屋さんになってる感がありますが、今回もバラしです。
ヘアドライヤーを分解し、回路を調べました。

バラすのはこちらのドライヤー。例によって古くなったので捨てるものです。
KOIZUMI の KHD-1236という製品で、SET, COOL, TURBOの3モードがあり、マイナスイオンが出ることが特徴です。

分解


ガワを外して回路を取り出したのが上の写真です。ヒーター、モーター、ファン等の主要部品が見えます。
ヒーターは複数本あるわけではなく、長い1本のものが巻き付けるように取り付けられています。
ヒーターの発生する熱を、モーターとファンで吹き付けるという、ドライヤーの基本の仕組みがわかります。


左の写真赤丸の部分が、マイナスイオン発生器のようです。アルミホイルのようなもので覆われており、中身は黒い樹脂で埋められていたので、回路はわかりませんでした。
また、右写真の通り、モーターはACモーターではなく、マブチのDCモーターが使われていました。ドライヤーは手に持って使用する家電なので、小型化するためでしょうか。ACからDCに整流するための4つのダイオードも見えます。

回路図


手描きですが、回路図に起こしました。

モーター部

前述のとおりモーターはDCモーターです。4つのダイオード1N4004で全波整流した電圧がモーターの両端に加わります。モーター電流の流れる経路に約76Ωの抵抗線がありましたので、モーターにかかる電圧は100Vではなく、ある程度抑えられているようです。

モードスイッチ

モードスイッチ部の"イ"に入力されたAC100Vが、1, 2, ロのどれに接続されるかによって、動作が切り替わるという回路になっています。例えば"2"はヒーターにつながっており、温風が出るモードの時だけ接続されると予想できます。
なお、モードは以下のスイッチ写真からわかるように OFF(動作なし), SET(弱い温風), COOL(強い冷風), TURBO(強い温風)の4モードあります。テスタでスイッチの結線を調べたところ、下記のようになっていました。

  • OFFのとき:どの端子もつながっていない
  • SETのとき: イ-1, ロ-2が導通
  • COOLのとき: イ-1, イ-ロが導通
  • TURBOのとき: イ-1, イ-2, イ-ロが導通


興味深いのが、SETの時の結線です。イ-ロを導通させず、イ-1, ロ-2 と導通させることで、ダイオード1N5404を経由してモーター(とヒーター)に導通するようになっていることがポイントです。以下で詳しく説明します。

各モード動作

TURBOモード(強い温風)


TURBOモードの時は一番単純で、上図のようにモードスイッチ内のすべての端子が導通します。よって、ヒーターは発熱し、モーターは回転し、マイナスイオンは(スイッチがオンなら)発生します。この動作が基本になります。

COOLモード(強い冷風)


COOLモードの時は、モードスイッチ内でイ-2のみが導通しません。よって、モーターは回転しますが、ヒーターには通電されないので発熱せず、結果として冷風(ただの風)が出ることになります。

SETモード(弱い温風)


SETモードの時は、イ-1, ロ-2というペアで導通し、上図のようにダイオード1N5404経由でモーターとヒーターに導通します。1N5404で電圧がドロップし、モーターとヒーターに加わる電圧はTURBOモードと比べて少し下がることがポイントです。 ←[20230902修正] これ間違いでした。正しくはダイオードにより半波整流され、モーターに加わる正味の電力が低下することにより回転数が下がります。

これにより、PWM制御や位相制御など複雑な回路を使わずにモーターの回転数を下げることを実現しています。

最後に

最初、大した制御回路も入っていないのにどうやってDCモーターの回転数を変えているんだ?というのが疑問だったのですが、モードスイッチの結線を調べたときには目からウロコでした。毎回色んな発見があるから家電の分解はやめられません。