DENKIグループ★電子工作ブログ★

趣味でガラクタ工作をやっています。作ったものについてまとめていきます。

NE555で昇圧コンバータ

こんにちは、DENです。
今回は、電子工作ラーなら誰もが持っているであろうIC、NE555を使って昇圧コンバータを作った話です。

私はアマゾンで3000円前後で買ったハンディオシロスコープを使っているのですが、それが9VのACアダプタ駆動であり、ちょっと波形を見たい時にもいちいちコンセントに挿さないと使えず、またコードの取り回しも煩わしく、不便に感じていました。
今回の工作は、そのオシロスコープを何とか乾電池で使えないかということから始まりました。

まあ、角形の9V電池使えばいいやん、と言ってしまえばそれまでですが、電源回路の勉強もしたかったこともあり、たくさん余っている単3乾電池4本を昇圧する構成にしようと思いました。
さらに、専用ICは使わず、これまた余っているNE555を発振回路として使い、ほかの部品も部品箱の余りだけで作ってみました。

回路図

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最低限必要な部品しかない、単純な昇圧コンバータです。

発振回路

NE555を無安定モードで使います。発振周波数は約7kHz、dutyはほぼ50%です。

スイッチング部

図には型番が書いてありませんがスイッチングFET(M1)は2SK4017、ダイオードD1は1N4007です。コイルはたまたま持っていたトロイダルコイルを、コンデンサは家電を捨てる時に引っぺがした電解コンデンサを使いました。まさに有り合わせです。

フィードバック部

昇圧コンバータなので、出力電圧が上がりすぎないようにフィードバックが必要です。リファレンスICのTL431を使って、フィードバックをかけます。出力電圧を30kと10kで1/4にした電圧をTL431のリファレンスに入力しているので、出力電圧が10Vになるように、M1のゲート電圧を落としてくれます。
ちなみにこのフィードバック回路がないと、無負荷時に40Vくらいの電圧が出力されました。

そもそも9VのACアダプタの代わりにするのに10V出力でいいのか?というところですが、部品箱にちょうどいい抵抗がなかったのと、10Vでも問題なくオシロスコープが動きましたので、趣味で使うだけだしいいだろうと判断しています。

負荷

I1は負荷で、今回はハンディオシロスコープです。図では500mAとなっていますがこれはシミュレーション用で、実際のハンディオシロスコープの負荷電流は100mA (実測)でした。

完成写真

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今日も今日とてグルーガンです。まあ、言い訳ですが、これからちゃんとケースを作って収める予定です。

適当に測定

出力特性

直流電源と電子負荷を使って、負荷電流に対する出力電圧の変化を調べてみました。入力電圧は乾電池4本ということで、4Vから6Vまで500mV刻みで振ってみました。
今回想定する負荷(ハンディオシロスコープ)は100mAですので、アルカリ乾電池が1本あたり1Vちょっとまで下がってくるともう限界かな、という感じです。とりあえず4本で5Vあれば十分な電圧が出ます。ニッケル水素電池4本でもいけそうですね。
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※直流電源と電子負荷は両方とも自作品ですので、データは「うちではこうなった」という参考程度のものです。

立ち上がり波形

無負荷時の出力立ち上がりを見てみたのが以下の波形です。7msくらいで10Vまで到達しており、オーバーシュートもありません。
過渡的な負荷安定性は見れていないので、本気でやるなら見ていく必要がありますね。
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おわりに

なにぶん電源回路は素人なので、コイルとかコンデンサの選定は超適当(選定してすらいない)ですが、とりあえずNE555とTL431という汎用部品だけで、まあまあ使える昇圧コンバータが作れることがわかりました。
そのうち絶縁タイプのスイッチング電源なども作ってみたいですね。