DENKIグループ★電子工作ブログ★

趣味でガラクタ工作をやっています。作ったものについてまとめていきます。

TL431と2SC1815で作るレギュレータ

タイトルの通りですが、TL431と2CS1815でシリーズレギュレータを作って、簡単に測定してみました。

マイコンを使った電子工作をする際、電池やACアダプタの電圧をレギュレータICを使って5Vや3.3Vに降圧し、回路電源とすることが多いと思います。
レギュレータICは78xxシリーズなどが有名ですね。いずれも1個数十円程度と非常に安く、電子工作用にたくさん買ってストックしている方も多いでしょう。

私も3端子レギュレータICはよく使うのですが、肝心な時に切らしてたりするんですよね。また、レギュレータICにはそれぞれスペックがあり、求める性能のものをいつも持っているとも限りません。
そんな時でも、トランジスタと基準電圧ICがあれば、レギュレータは簡単に作ることができる、という話です。

回路図

今回作成したのは、5V出力タイプのシリーズレギュレータです。基準電圧ICのTL431のデータシートにも載っています。

TL431は、リファレンス端子(R)の電圧が2.5V ( = V_{ref}) になるようにカソード端子(C)から電流を引き込むという動作をします。その結果、出力電圧は (1+\frac{R_2}{R_3})V_{ref} で5Vとなります。
トランジスタは2SC1815を使いましたが、ほかのNPNトランジスタでも構いません。というより、要求スペックを満たすものを選ぶ必要があります。

注意すべき点
  • TL431はカソード端子へある程度の電流を流さないと、リファレンス端子電圧がきれいな2.5Vになりません。具体的にはカソード端子へ最低1mA程度は流れるように、R1を選びます。
  • R2, R3の個体差はそのまま出力5Vの誤差になるので、精度の良い部品を使うのが理想です。とはいっても個人の電子工作では±5%のカーボン抵抗などを使うでしょうから、テスターを使って同じ抵抗値の個体2つを選び出して使用しましょう。または、どちらかを可変抵抗にして調整するという手もあります。
  • 出力できる電流や耐えられる入力電圧は、Q1に採用するトランジスタによって決まります。今回は2SC1815を使っていますが、この2SC1815の定格を超える使い方はできないということです。具体的には、2SC1815の絶対最大定格でコレクタ電流は I_C = 150mA、コレクタエミッタ間電圧は V_{CE} =50V、発熱は P_D =400mWですから、少なくとも入力電圧55V, 出力電流150mA, 消費400mWを超えることは一瞬たりともできません。実際にはこれよりかなり余裕を見るのがよいです。入力55Vというのは過渡的にも中々無いと思いますが、出力電流と消費については、LEDやリレーなどを複数搭載した回路の場合、超えてしまうことがありますので注意が必要です。

測定

ブレッドボードに回路を組み、入力電圧と負荷を振って出力電圧がどう変化するかを調べてみました。

出力電流を大きく取りたいときは、入力電圧も高めに必要になることがわかります。
趣味のマイコン回路ではせいぜい数mAの消費電流でしょうから、入力電圧は6.5Vもあれば十分です。

さいごに

今回紹介した回路はレギュレータICに比べ特段お安いわけでもなく、場所も取りますから、少なくとも趣味の電子工作においてはレギュレータICがあればそちらを使うのが良いです。だけど頭の片隅に置いておけば、役に立つこともある...かもしれません。