DENKIグループ★電子工作ブログ★

趣味でガラクタ工作をやっています。作ったものについてまとめていきます。

フルディスクリートでB級アンプ作ってみた

タイトルの通り、アンプを自作してみました。

回路図

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自作したアンプ回路
  • 初段はNPNトランジスタの差動増幅回路、次段のPNPエミッタ増幅回路でさらに増幅し、そこから2段のSEPPで電流増幅を行うという構成です。
  • 最終段の出力を初段に戻しフィードバックをかけています。回路全体のゲインは21倍です。
  • D1,D2,D3,Q5,Q4,R4,R7で構成される回路は定電流回路です。回路動作が電源電圧にできるだけ依存しないように定電流回路にしています。
  • D4,D5,D6はQ6,Q6のバイアス確保用です。
  • VR1はオフセット調整用です。入力(IN+, IN-)同士を短絡した状態でスピーカ両端の電圧を測定し、0Vになるように調節します。これにより出力に現れるDC成分をなくすことで、カップリングコンデンサを省いています。
  • C1とR5は発振防止です。C1とR5は2段目のPNPエミッタ増幅回路の入力インピーダンスとなるため、C1によって高周波領域の入力インピーダンスを落とし、発振を防ぎます。値は実測カットアンドトライで決めました。
  • 最終段のQ8,Q9にはバイアスをかけていないため原理的にはクロスオーバー歪みが発生する構成となっていますが、フィードバックをかけているからかそれほど大きな歪みは観測されませんでした。音楽に関しては素人ですが、実際に音質に問題はなかったです。

この回路は、以下の書籍を参考に設計しました。

「定本 トランジスタ回路の設計」鈴木雅臣、CQ出版社 (1991)  第12章のOPアンプ回路

実物

ステレオにしたかったので、同じものを2つ作る必要があり、ユニバーサル基板では大変そうだったので、基板を起こしました。やはり、プリント基板はカッコいい...
スピーカーの筐体は、100均の木枠と3Dプリンターを使って自作しました。

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自作したアンプ実物

最後に

自作したアンプで音楽を聴く、というのは、電子工作家の1つの目標でもあると思います。あらゆる回路がワンパッケージICで手に入る現代、あえてフルディスクリートでアンプを組んでみて、いろいろ勉強になりました。