DENKIグループ★電子工作ブログ★

趣味でガラクタ工作をやっています。作ったものについてまとめていきます。

YAMAZENのクソ安い扇風機の制御回路

今回も分解系です。
学生の一人暮らし等でおなじみだと思われる、YAMAZENの扇風機の回路を調べました。

今回の分解の目的は、ローコストAC扇風機の風量制御方法を調べることです。分解したのは2011年に購入したYAMAZENのリビング用扇風機で、型番は忘れてしまいましたが2000円くらいで購入したものです。この値段の家電に入っているモーターと、その回転数制御はどうなっているんだろうと、前から気になっていたのです。

制御回路とモーター

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今回は分解中の写真を撮っていないので、いきなり裸の基板とモーターの登場です(笑)。モーターは単相誘導モーターですが、4本の配線が出ています。
結論から言うと、複数のトライアックでモーターの結線を切り替えることで回転数制御を行っていました。

基板パターンを追っかけ、回路図に起こしたものが以下です。
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各ブロックについて簡単に説明していきます。

制御IC & 結線切り替え回路

回路の中心に14ピンのICがあり、このICがすべてをコントロールしています。印字がなかったのでマイコンなのか専用ICなのかわかりませんが、値段も値段なので専用ICでしょう。
このICの12~14番pinから、トライアックT3~T5へのトリガー信号が出ており、これにより通電する線の切り替えを行っています。

誘導モーター

一番重要なところですが、この回路はこのモーターの通電経路を切り替えることで速度制御を行っています。このモーターには白→黄、白→赤、白→青の3通りの通電経路があり、それぞれで回転数が変わるということです。
誘導モーターの回転数は、負荷が決まったら、電源の周波数とモーターの極数で大体決まってしまいます。同期回転数の式は、N=120*f/P [rpm] です (N:同期回転数、f:電源周波数、P:極数)。電源の周波数fは50または60Hzで変えられないので、極数Pを変えることで回転数を変えることができます。または、直列に抵抗を挿入して、誘導モーター自体に加わる電圧を変化させることトルク特性を変え、回転数を変化させることもできます。
このモーターの巻線抵抗値をテスターで調べたところ、白~黄間が97Ω、白~赤間が164Ω、白~青間が221Ωでした。これより、極数か直列抵抗値を変化させることで、回転数を変えているということがわかります。

制御電源生成部

モーターは交流100Vで動作するわけですが、制御IC周りの回路のために直流5Vが必要で、それを作るための回路です。
入力は交流ですので、ACN=0Vとすると、ACL側がプラスの電圧のサイクルとACL側がマイナスの電圧のサイクルが繰り返されます。まずACL側がマイナスのときを考えると、C2には電荷がチャージされます。しかし、ZD1がオンすると電流がそちらに流れるので、ZD1のオン電圧までしかチャージされません。次にACL側がプラスになると、電流はD2の経路を流れます。D1があるので、C2やZD1のある経路に電流が流れず、C2の電荷が保持されます。以下はイメージ図です。
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LED&スイッチ回路

ユーザーインターフェース部ですね。ICの仕様がわからないので何とも言えませんが、少ないポート数で多くのスイッチとLEDを制御できるように工夫した配線になっています。モーター制御には関係ないところなので深追いはしませんでした。

さいごに

シンプルかつ巧妙な面白い回路でした。高級な扇風機も分解して比較してみたいですね。