DENKIグループ★電子工作ブログ★

趣味でガラクタ工作をやっています。作ったものについてまとめていきます。

騒音録音用マイクを作りたい_製作編

こんにちは、DENです。
騒音(足音)を録音するためのマイクを作ってみた記事です。

経緯

マンションの上の階の住人が、在宅中とにかく足音がうるさくて、なんとか録音できないかと思ったのが発端です。
どんな音かというと、ドスンドスンという"かかと歩き"の音です。子供は居ないようなので、大人の足音ですね。
これがもう本当に音と振動がすごくて、静かに集中している時とか超ムカつきます。
ポストに手紙を入れたり、直接苦情を言いに行ったりしたんですが、全く改善されないんですよね。まあ、逆ギレとかされなかったので人柄が悪い人ではないので、これはもう単純に音を出している自覚がないんだなということで、録音して「こんな音が聞こえてるんだよ」といって自覚を持ってもらおうというのが今回の作戦です。

ネットを検索してみるとマンション住まいで同じ悩みのある方は非常に多いようです。しかし人の足音による騒音を録音するというのは、スマホなどではかなり難しく、まったく録音できないか、録音できても実際よりも迫力のない音になってしまうようです。実際私もやってみましたが、まったく録音できませんでした(そもそも録音できていたとしても、スマホのスピーカーが重低音を出力できるかどうかも怪しい)。おそらくスマホのマイクの帯域は人の話し声に合わせたものになっているため、足音のような重低音は録音できないのでしょう。毎日この音を経験している身としては、この身体の芯まで響くような振動と重低音を、何とかして上の住民に体験させたいものです。。。

話が脱線しますが、こういった騒音問題でもし訴訟とかになった場合、個人が録音した音源を証拠とすることは難しいらしいです。生活騒音を録音するちゃんとした業者?に測ってもらったものしかダメみたいです。それに、仮に証拠があったとしても、現代日本において基本的に生活騒音問題では被害者側が不利であり、訴訟などで話を大きくしたところで「やり損」になるというのが実情、とのことです。悲しい。
初めに書いた通り今回はそこまで大層な話ではなく、上の住人と話し合う際に証拠として聞かせたい、ぐらいの目標です。ネットで調べると騒音記録計なるものが数千円で売っていますのでそれを使う手もありましたが、ここはアナログ回路の勉強も兼ねて自作に取り組むことにしました。まあ、騒音に悩まされるのではなく勉強に利用してやろうと思うことにより精神の健康を保つ目的も大きいですが。

マイク構成

前置きが長くなりましたが、ここから実際に作るマイクの構成について紹介していきます。まず、今回作りたいマイクの要求スペックは以下のようになります。

  • 周波数帯域が低周波領域まで伸びていること (足音は低音のため)
  • 安いこと (被害者なのにお金をかけるのは癪だから)

まず安いことを考えると、数千円クラスの(半)完成品マイクではなく、パーツショップで買える部品レベルのものを使うことになります(そもそも完成品を使うなら既成の騒音記録計を使えばいいですし)。秋月電子で探し、XCM-6035というコンデンサマイクを使うことにしました。1個50円でした。やすい。

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コンデンサマイクXCM-6035
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XCM-6035の周波数特性(データシートより)

データシートを見ると、帯域は50Hz~16kHzとなっています。下端が50Hzなのは十分なのかどうかわかりませんが、探したところではほかの部品でもこの程度が限界でした。まあまずは数十円レベルのマイクでどれだけやれるのか実力確認も兼ねて、これでトライしてみます。

しかしここで問題が1つ。このコンデンサマイクは無指向性です。指向性というのはどの方向からの音を拾うかという特性ですが、無指向性はそれがない、つまり360°どの方向からの音でも平等に拾うということです。今回は"上階からの"足音を拾うという明確な目的がありますから、できれば天井からの音を重点的に拾い、他の音は拾わないで欲しいです。
そこで以下のように100均で買ったボウルを使って、"パラボラマイク"っぽくしてみました。これで感度を上げつつ指向性を持たせようというのが狙いです。

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マイクが決まりましたが、全体の構成としては、次の2つのチョイスがあります。

  • マイク → パソコンのマイク入力
  • マイク → アンプ&フィルタ → パソコンのライン入力

つまり、マイクで拾った波形の増幅をパソコン(もしくはソフトウェア)に任せるのか、自作ハードウェアでやるのかという違いですが、今回はアナログ回路の勉強を兼ねていますのでアンプを自作することにしました。
まあ最終的には両方試してみようと思っています。

回路図

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OUT-GND間を、パソコンのライン入力に接続して使います。
電源は乾電池4本です。大電流が流れる回路ではないため、電源を単純に抵抗とコンデンサで分圧して、中点(GND)を生成しています。
単純なオペアンプの反転増幅器を2個つないで、ゲイン100倍としています。出力段はプッシュプルエミッタフォロワとしました。この構成だとクロスオーバー歪みが避けられませんが、キレイに録音することはそれほど求めていないのでよしとしています。実際に動作確認した時も歪みは気になりませんでした。

SW1, SW2をオンにすることで、高周波領域でのゲインが落ちるようになり、相対的に低音が強調されるようにしました。足音という重低音を強調して録音することを狙いましたが、実際どれくらい効果があるかはわかりません。

完成?

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まだ配線がむき出しの状態なので、片手で扱えるようにもう少しケース等を検討する必要がありそうですが、とりあえず完成しました。
果たして、このマイクは我が家の騒音問題の救世主となるのか。その効果は、これから確かめていこうと思います。